界面活性剤
 水に対して親和性を持つ親水基と、油(水以外のもの)に対して親和性を持つ疎水基の両方性質をもつ物質。水と油(水以外のもの)の両方の性質を持つため、水と油の2相間の界面に作用して、それらの界面張力を低下させる働きをもつ。このような性質を持つ物質を界面活性剤という。
水の中での状態
界面活性剤は水の中で左の図のような状態になります。このように、親水基は水とひっつき、疎水基は疎水基どうしひっついた状態
(ミセル)になります。
界面活性剤の入った水の中に油を入れると通常、水と混ざることのない油がミセルの疎水基の中に取り込まれ、まるで水と油が混ざったかのような状態になります。(右図)
界面活性剤が
乳化剤として用いられているのは、通常では分離するものを混ぜることができる界面活性剤の性質があるからです。
洗浄の仕組み
通常、水に溶ける汚れは水で洗い流せます。しかし、油分のある汚れや、吸着の強い汚れは水洗いだけではなかなか落ちません。このような汚れに対し、まず、界面活性剤の疎水基が働きかけます。汚れに対し、疎水基が針のように刺さっている状態を思い浮かべてください。この状態では、親水基は水に引っ付こうとし、疎水基は汚れに引っ付こうとします。次に、@親水基と水の引っ付く力、A疎水基と汚れの引っ付く力、B汚れと衣類などの引っ付く力のうち最も引っ付く力の弱い部分が切れます。疎水基の先に汚れがついてはがれていく様子を想像してください。汚れが落ちるということは、Bの力が@Aに比べ弱いことを意味します。

界面活性剤はその特異な性質のため応用範囲が広く、その用途によって、洗浄剤・分散剤・乳化剤・浸透剤・可溶化剤などと呼ばれています。
石鹸
石鹸は人類が使用した最も古い界面活性剤です。石鹸は水の中でミセルを形成し、その中心部に水に溶けにくい汚れとなるものを取り込んで、汚れを洗い流します。また、界面活性剤の表面張力を低下させるという性質のために、衣類などの細かい繊維の網目の中にまで浸透することができ、洗浄力をさらに高めます。
石鹸の合成は以下のとおりになります。
 

このような石けんがつくられる過程を鹸化(ケン化)といい、鹸化によって作られる脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムのことを石鹸と呼びます。
合成洗剤
石油、その他の原料から化学的に合成された界面活性剤(合成界面活性剤)を用いて製造された洗浄剤を合成洗剤と呼び、石鹸とは明確に区別されます。合成界面活性剤の種類は数多くあり、一般に洗剤と呼ばれているものほとんどに使用されています。安価であり、せっけんカスが残らないという利点があり、多くの方が使用しています。しかし、その原料となる合成界面活性剤の中に、環境、人体に有害なものがあるということがわっかてきました。また、合成洗剤は蛍光剤・防腐剤・香料などの添加物が加えられていることが多く、これらの物質も安全性が疑われています。
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